2009年04月30日

理想の生活

 ここへ来てもうどれぐらい経つだろう。そろそろ何もかにも飽きてきた。欲しい物はなんでも手に入る。満員電車に押し込められて職場に向かう事もないし、人間関係の煩わしさもない。 自分が思うがままの生活が保証されている。金が欲しければ、思い浮かべただけの額がいつのまにか引き出しに入っている。いや、金なんかなくても、飲み食いはいつもツケですむ。どこかへ行きたいと思えば、どこからともなく運転手が迎えに来る。町に出れば、自分が思う理想の女性が街角に立っているし、声をかければ何処へでもついてくる。ショーウィンドウの中は、自分好みの物ばかりで、衣食住にはまったく困らない。毎日が日曜日、贅沢三昧の日々だ。ただ友人ができないね。夜になるとどこへ帰るのかみんな煙のように消えてしまう。でも贅沢いっちゃいけない。友達も恋人もできなくたって、それ以外のことはなんでもござれだ。孤独がなんだってんだ。でも、もう退屈で退屈で、孤独で孤独で、いったいこの先、どれほど続くのだろうか。 いっそ死にたいよ。あ、そうか、また死ぬなんてことはできないな。死ぬどころか、怪我ひとつしない風邪ひとつひかないんだから。気晴らしにどこかへ出かけよう。ほらね、もう家の前に車の止まる音が。
 ねぇ、運転手君。
 今頃になって思うんだが、天国とはなんて退屈なところなんだ。
 「え? 旦那さん、ここは地獄ですよ。」
 !・・・

60年代に放映されていた、アメリカのSFテレビドラマシリーズ「ミステリー・ゾーン(原題:The Twilight Zone)」の中で、朧気に記憶に残っているシーンをもとに脚色した。第何回目の何というタイトルだったかまったく覚えていないが、この内容がいつまでも忘れられない。幸せとは何かを考えさせる話だ。
posted by ヤマガタ・シュンイチ at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 夢の中で
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/47501284
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック